はじめに
こんにちは、イトウ ヒロシです。
冬に入ると、室内の「窓まわりのひんやり」に悩む人は多いと思います。
これはコールドドラフト現象と言って、暖かい空気が窓で冷えて、冷えた空気が下の方に流れるために起こっています。
この現象を解決するには窓の性能を上げる必要があります。
でも「窓を交換する予算はない」という家庭も多いはず。
そこで注目したいのが「内窓(インナーサッシ)」です。
この記事では、
- 元サッシ屋としての専門的な視点
- 二児の父親としての実用的な視点
から、内窓のメリット・注意点・現実的な判断方法をまとめます。
🧩 内窓とは? — まず基本を押さえる
「内窓」とは、既存の窓(外窓)の室内側に取り付ける“もう1つのサッシ”です。
「二重窓」「インナーサッシ」と呼ばれることもあります。
多くの製品が、主要サッシメーカーから提供されています。主な構成は:
- 樹脂フレームのサッシ
- ガラス:シングル or ペア
近年では断熱・防音性を高めた製品が増えていて、特に冬の寒さ・結露・騒音に悩む家庭からの注目が高まっています。
✅ なぜ今「窓の断熱」に注目すべきか?
窓は住宅の「熱の抜け漏れ」で最大級の弱点
住宅の断熱性能を左右する最大の要因が、窓(開口部) です。
開口部は外壁に比べて熱損失が大きく、寒さ対策・光熱費対策の鍵になります。
また、近年ようやく「ペアガラス」や「樹脂複合サッシ」「樹脂サッシ」が普及し始めたものの、築15〜20年を超える住宅には、
☑ シングルガラス + アルミサッシ
☑ ペアガラス + アルミサッシ
といった、断熱性が低めの窓仕様の家も多く残っています。
こうした住宅では、内窓による断熱化の効果が特に期待できます。
✅ 内窓の効果 — エビデンスで裏付けられたメリット
● 断熱性能の大幅アップ
例えば、代表的な内窓製品である YKK AP の「プラマードU」は、真空ガラスを使ったモデルで 熱貫流率1.1 W/(㎡·K) という高断熱性能を示しています。これは新築の樹脂サッシに匹敵、あるいはそれ以上の断熱性です。
このように、
「窓を交換するのが難しい」住宅でも、内窓で断熱性を一気に引き上げることが可能です。
● 結露抑制と室内快適性の向上
内窓によって、室内側ガラスの表面温度が上がるため、結露が発生しにくくなるという報告が複数あります。
実際に、結露がひどかった窓で内窓+Low-Eガラスを導入した家庭では「朝の拭き掃除がほぼ不要になった」との声も。
結露対策は見た目だけでなく、カビ・ダニ対策にもつながり、子育て家庭やアレルギー対策としても有用です。
また躯体内結露が起こっていると、建物自体へのダメージが大きいです。
● 防音・遮音効果も期待できる
内窓をつけることで、外部騒音の低減も可能になります。
YKK APの説明では、実例として約 15 dB の騒音低減の報告もあります。
交通量の多い道路沿いや、夜間の外の音が気になる家庭では、断熱だけでなく防音目的でも内窓は有効な投資です。
🔊「15dB低減」のイメージをわかりやすく説明
音の大きさは 10dB下がると、体感で「半分くらいの音」になると言われます。
つまり 15dB減る = 半分よりもっと静かに感じるレベル。
たとえば…
| シーン | 設置前 | 設置後(-15dB) | 体感の変化イメージ |
|---|---|---|---|
| 住宅街の交通音 | 65dB | 50dB | 車の音がかなり気にならなくなる |
| 街中の雑踏 | 60dB | 45dB | 静かなオフィスくらいの静けさ |
| 家の中の普通の会話 | 55dB | 40dB | 会話の声がぼんやり聞こえる |
📌結論:
「外の音が聞こえるなぁ」が → 「ほとんど気にならない」に変わるレベル。
⚠️ ただし“何でもかんでも付ければ良いわけではない”注意点
◎ 付けられない窓・条件がある
- 窓枠の「見込み(奥行き)」が狭すぎる窓
- 内倒し窓など、開閉方式によっては内窓と干渉する窓
- 網戸や面格子、カーテンレールなどの取り付け位置に障害物がある場合
これらの場合、取り付け不可 or 手間がかかる可能性がありますので、事前チェックが必須です。
⚠ 弱い窓ばかりに付けると“結露の転移”のリスク
理想は「家全体をバランスよく断熱・気密すること」。
内窓を付けた窓だけが高断熱になると、ほかの窓の“冷え” → 結露が集中する可能性があります。特に窓の多い住宅では注意が必要です。
🧰 元サッシ屋パパおすすめの「窓タイプ別 内窓アドバイス」
| 既存窓仕様 | 内窓おすすめ度 | 解説 |
|---|---|---|
| アルミサッシ + シングルガラス | ★★★★☆ | 断熱効果・快適性ともに大きく改善。空気層で冷気シャットアウト。 |
| アルミ樹脂複合 + ペアガラス | ★★★☆☆ | 断熱はまずまず。防音や結露対策として◎。 |
| 樹脂サッシ + ペアガラス | ★★☆☆☆ | 断熱性は高めなので、目的は「防音」。個人的には必要ないかな。 |
✅ まとめ:内窓は“古い家 / 窓が弱い家”ほど価値ある選択
窓の寒さ、結露、防音に悩んでいるなら、内窓は非常に現実的で効果の高い解決策です。
特に、
- 築15〜30年の住宅
- アルミサッシやシングルガラスの窓がある家
では、設置コスト以上の“快適さ”と“ランニングコスト削減効果”を見込めます。
まずは「自宅の窓が内窓に適しているかチェック → 見積もり依頼」がスタートライン。
この記事が、その判断の手助けになれば嬉しいです。
中年パパの子育てライフ研究所 
